子供の眼精疲労について


新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が増え、子供のゲーム時間が大変長くなっているようです。

本来子供は眼精疲労とは無縁のはずですが、家にこもってゲームばかりしている子供が急増し、子供達にも眼精疲労とそれに伴う心身への悪い影響が出てきています。

そこで長時間のゲームがもたらす弊害と、大切な子供の目を守るための心がけについてご紹介いたします。

◎こんな症状が出たら要注意

・目が痛い ・ピントが合いづらい

・まぶしい ・眠れない

・目を細めて見る(遠くが見にくい)

・イライラする

 

 

 


目への影響


1.近視の進行

人間は生まれた時から成人になるまでの間に身長が伸びますが、眼球もおよそ1.5倍に大きくなります。そのため赤ちゃんは強い遠視で生まれてきて、眼球が大きくなる中で近視化していきます。

眼球の長さを眼軸長といいますが、眼軸長が長いほど近視が強くなり、成長期に近くばかり見続けることで眼軸長は伸びてしまう傾向があります。

 

眼軸長が必要以上に伸びることを防止することが深刻化する子供の近視化の抑制になると考えられ、最近では太陽光を浴びると良いとか、子供用のサプリメントもあります。しかしすぐに取り組むべき近視化と眼精疲労の予防には、ゲームの時間とやり方にご家庭でのルールを作り、ゲームの時間を減らして目の負担を軽減することが必要です。 


2.睡眠障害と自律神経の乱れ

1日中ゲームをしていると、強い液晶画面の光と脳の興奮から自律神経の交感神経が刺激され、睡眠障害が起きることがあります。

人間には体内時計があり、日中は交感神経が優位になって活動し、夜は副交感神経が優位になって休息し、この2つの自律神経のバランスが非常に大切です。そして目が感じる太陽光が体内時計のスイッチとなります。

夜遅くまでゲームをしていると、液晶画面のブルーライトを脳が太陽光ととらえてしまい、就寝時に身体を休息モードにしてくれません。そのため寝付きが悪いとか眠りが浅いなどの睡眠障害になるわけです。

 

長時間のゲームは体内時計を狂わせ、生活のリズムを乱してしまいます。なかにはゲームが原因で昼夜逆転の生活になってしまう場合もあり、さらにイライラするなどの精神面での影響もあります。

 

ゲームばかりして生活のリズムが狂ってしまうと、交感神経ばかりが刺激されて自律神経のバランスが乱れ、頭痛や倦怠感や吐き気などの自律神経失調症にもつながってしまいます。


3.『仮性近視』

長時間近い距離の画面を見続けていると、急に近視化することがあります。

特に子供は調節力が強いので、長時間ゲーム画面などの近い距離ばかり見ていると、調節する筋肉の緊張が続き、遠くを見た時にその緊張が取れず遠方視力が落ちます。これが『仮性近視』です。

本来なら4月に学校の健康診断の時期で視力検査が行われるのですが、休校に伴い学校健診も先送りになっています。おそらく今年度は学校健診で視力が低下している子供が大勢出てくることでしょう。

 

テレビを見るときなどに子供が目を細めていたら、遠くが見えにくくなっているサインですので、ぜひ眼科を受診してください。

 

 

子供の目を守るためにできること


1)時間を決めて、『30cm30分』を厳守

『30cm30分』と眼科医は言います。

つまり、30cm以内のものを見るときには30分で必ず休憩するという意味です。ゲームもスマホも『30cm30分』です。子供も大人もぜひ厳守してください。

ずっと家にいる今だからこそ、子供にとって生活リズムを整えるルールが非常に大切です。ゲームに時間制限をして、特に夜はゲームをやらせないようにしましょう。

2)遠くを見る時間を意識的に作る

家にずっといる生活の中では遠くを見ることはほとんどなく、意識しないと遠くを見れません。遠くを見ることで、近くを見ている間に緊張していた目の筋肉が弛緩して目が休まります。

雲を眺めたり星を見たり遠くの景色を見たり、子供と一緒に遠くを見る時間を作ってください。

3)就寝時に目と首の後ろを温める

学校に行けないことで、子供も親もストレスがたまり、共にイライラしやすくなります。目と首の後ろをホットタオルやピローで温めると、副交感神経が誘発されてリラックスし、気持ちも穏やかになります。さらに就寝時に子供の手をやさしくマッサージしてあげると、子供が安心してぐっすり眠れます。

4)近くを見るときの目の負担を減らす

目の負担を減らすためには、近くを見る時間を減らすことが1番効果的です。

近くを楽に見るよう度数調整したメガネも目の負担を減らします。

5)ゲームやパソコンの液晶画面のブルーライトを防ぐ

就寝前1時間は液晶画面を見ないようにして、ブルーライトが目に入らないようにしてください。夜はゲームをやらずにゆったりリラックスする時間を持つと、質の良い睡眠がとれるようになります。

ゲームなどの液晶画面を見るときには、ブルーライトカット加工のメガネの活用もお勧めします。

     

ゲームだけでなくタブレット端末での勉強でも、子供の眼精疲労は起こります。

今の子供たちは近くを見ることが増え、世界的に子供の近視化が危惧されています。

また、近視の子供より遠方視力が良い子供の方が眼精疲労になりやすく、目の疲れを強く感じる子供は遠視があれば遠くの視力が良くてもメガネが必要です。

新型コロナウイルスによる自粛生活の中で、子供がずっと室内で過ごすためにはゲームも必要ですが、成長期の大切な身体を守るために、子供の眼精疲労にぜひ留意していただきたいと思います。